文字サイズ
井戸や貯水槽から水を汲み上げる、動力を要さない機構。ロープに一定間隔で取り付けた円盤が管の中を上昇し、管内の水を押し上げる。電力を使わず、部材はすべて一般の建材で揃う。
この設計図は「翻刻」の段階です。 失効特許の図面を現代の寸法とCADに写した段階であり、この寸法でまだ誰も組んでいません。 動作は未検証です。試作された方は、動いた・動かなかったにかかわらず記録をお寄せください。試作の報告があり次第、段階を「試作」に更新します。
原理
ロープに一定間隔で円盤(ピストン)を取り付け、そのロープを立てた管の中に通して循環させる。円盤が管の内壁とわずかな隙間で接しながら上昇すると、円盤の上にある水がいっしょに持ち上がる。隙間から漏れる量より持ち上がる量が多ければ、水は連続して上がってくる。
弁もシリンダーも要らない。必要なのは、管と、ロープと、間隔の正しい円盤だけである。この単純さが、この機構が百年以上にわたって各地で作り直されてきた理由である。
主要寸法
| 部位 | 寸法 | 備考 |
|---|---|---|
| 揚水管 内径 | 20 mm | 塩ビ管 VP20 を想定 |
| 円盤 外径 | 19.4 mm | 管内径に対し 0.6 mm のクリアランス |
| 円盤 間隔 | 1000 mm | 揚程が増えるほど間隔は詰める |
| ロープ径 | 5 mm | ポリプロピレン三つ打ち |
| ホイール径 | 600 mm | 手回しの場合。動力を付ける場合は要再計算 |
クリアランスについて。 0.6 mm という値は、原典の図面をインチからミリに換算し、一般に入手できる塩ビ管の内径に合わせて丸めたものです。原典自体はこの寸法を明示していません。ここは検証が必要な箇所です。
組み立て
- 揚水管を必要な長さに切り、下端に取水口を開ける。
- 円盤を所定の間隔でロープに固定する。結び目の上下をゴム片で挟むと滑りにくい。
- ロープを揚水管に通し、上部のホイールと下部のガイドに掛けて輪にする。
- ホイールを回し、水が上がってくるまでの回転数を数える。
- 一時間あたりの揚水量を測り、記録する。
未確認の点
- 揚程が 6 m を超えたとき、円盤間隔をどこまで詰めるべきか。
- ポリプロピレンロープの伸びが、長期運用でクリアランスに与える影響。
- 冬季、管内で凍結した場合の破損の有無。
これらの「わからないこと」を残したまま公開しているのは、手抜きではありません。わからないことをわからないと書くことが、宣言文の第三条「検証の段階を偽らない」の実行です。